給与額と労働時間のライン表
給与報酬が支払われる場合金額に応じて源泉所得税が発生します。源泉所得税が発生する金額の下限が定められており、発生した場合には給与支給額から、支給額に応じた源泉所得税を差し引いて給与を支給します。
この源泉所得税額は、国税庁のホームページに掲載がある源泉徴収税額表を見て確認することができます。
この源泉徴収税額表には日額表と月額表があり、日払いか月払いかによって、確認する表が異なります。
表の見方ですが、左の列が支給される報酬額となります。
報酬額の右隣から、甲欄、乙欄、丙欄と順番に並んでおり、甲欄の中には扶養対象者の人数に応じて列が分かれています。
この甲欄、乙欄は、扶養控除申告書を会社に提出しているかどうかによって、変わってきます。また、丙欄は、日雇いの方の計算欄になります。
扶養控除申告書等の詳しい説明はまた別の機会にご案内します。
この源泉所得税の発生ラインで示している日額と月額の違いですが、
下記のようなものが該当します。
・月ごとに支払うもの
・半月ごとに支払うようなもの
下記のようなものが該当します。
・毎日支給される給与
・週単位で支払われるもの
月額表では1月あたり88,000円以上の給与支給がされた場合、甲欄で扶養者がいない場合.もしくは乙欄の場合、源泉所得税の控除が発生します。
東京都の最低賃金が2022年3月時点では、1041/時給となっているため、月に80時間以上勤務している方の場合、該当者が多いと思われます。
この88,000円と言う金額と80時間という数字を覚えておくと、徴収漏れが防げるかもしれません。参考にしてみてください。
所得ラインに関して、年末頃になるとよく話題に上ります。
扶養内で働いている人がこの所得ラインを一定額超えると、扶養している側の扶養人カウントから外れるため、不要に収まるよう気にされる方も多いのではないでしょうか。
少しこの所得ラインの内容が複雑になっており、一概に扶養と言っても税額上の扶養の話と社会保険の扶養の話とがあります。
また本人の住民税の発生や所得税の発生ラインなど、いくつかの段階があります。
人により少し状況が異なることもあるため、所得ラインについてはおおよその金額幅で確認をしておくと良いでしょう。
実際にどこのラインが自分の対象になるかは、身近な税理士等に確認をすると良いでしょう。
税務上のライン | 社会保険上のライン | |
2,010,000円 | 一般に配偶者特別控除の上限ライン | |
1,500,000円 | 一般に配偶者特別控除満額(38万円)の上限ライン | |
1,300,000円 | 扶養者から外れるか確認するライン | |
1,060,000円 | 社会保険加入義務か確認するライン | |
1,030,000円 | 所得税の発生ライン | |
1,000,000円 | 住民税の発生を確認するライン |
雇用保険と社会保険の加入には一定の基準が設けられています。
雇用保険の場合、1週間の所定労働時間が20時間を超える場合が加入の1つの目安となります。
長期的に雇用する見込みがあるであったりとか、昼間学校に通う大学生ではないなどの条件もあります。
フルタイムで1日8時間を週5日、4週働いた場合、月に約160時間の勤務となってきます。
その人たちと比べ半分ほどの勤務がある場合には、雇用保険の加入に該当していないかチェックするようにしていきましょう。
社会保険の加入ラインは、常時雇用しているものが500人未満の事業者の場合、常時雇用しているものと比べ4分の3以上の勤務をしている場合が該当要件になってきます。
仮に正社員が460時間勤務していると仮定した場合、120時間以上勤務が認められれば社会保険の加入義務が発生していきます。
なお、常時500人以上の事業者の場合は少し料金が厳しくなり、下記のような要件も加わってきます。
雇用保険と同様に、フルタイム勤務の人と比べ約半分以上働いている人はチェックするようにしましょう。
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・同一事業主の適用事業に31日以上雇用見込み
・昼間部の学生でないこと
・常時使用される者
・所定労働か労働日数が常時雇用者の4分の3以上
・一週間の所定労働時間が20時間以上
・同一事業主の適用事業に1年以上雇用見込み
・報酬の月額が8万8千円以上
・昼間部の学生でないこと
通常の勤務時間を超えて働いた場合に発生する作業ですが、残業自体を行って良い時間が法律上定められています。
月45時間を原則としており年間360時間が上限として定められています。
しかしどうしても忙しく45時間を超えて残業する場合があったとします。その場合においても年で6ヶ月を上限と定めており、月平均80時間に収める必要が出てきます。
業種によっては繁忙期に残業が度々発生するとい言う職業もあると思いますが、法律上の上限を超えないように月々確認していく必要があります。
またそもそも従業員に残業させる場合、あらかじめ従業員と会社間で取り決めを結ぶ必要があります。この辺の規定についてもまた別の機会にご紹介いたします。
残業上限のライン | 法律上限原則 | 法律上限 年6か月まで |
月 | 45時間 | 複数月平均80時間(休日労働を含む) 100時間未満 |
年 | 360時間 | 720時間 |
様々な法律があるので、会社の担当者として把握するのが難しい分野でもあります。
ただし従業員の給与、労働条件、ひいては生活に関わる重要な部分になります。
会社を経営する側、もしくは給与や労務手続きに関わる立場としては、しっかり押さえておきたい内容です。
どうしても個別の事情により状況が異なるため、本紙はあくまで基準となるラインの指標としてください。
などの基準となるポイントを覚えておき、各手続きの該当者がいないかを把握しておきましょう。
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